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三鷹の弁護士による違約金とは別途,慰謝料請求ができるのかについての解説
【事案】
配偶者が不貞していることが発覚しました。
配偶者は反省しており,もうしないと言っているので,今回は許そうと思っています。
もっとも,同じようなことをした場合には,200万円を支払ってもらおうと思っています。
そして,それを書面にしようと思っています。
もし,配偶者が約束を破った場合は,200万円の他に,別途,慰謝料を請求することができますよね?
【解説】
取決額200万円とは別途慰謝料を請求できるかは,合意内容によります。
原則論からいくと,別途の慰謝料の請求はできない可能性が高いです。
たとえば,
「●●に違反したときは,配偶者は別途配偶者に対し,違約金として200万円を支払う」
という条項だった場合,別途慰謝料の請求はできない可能性があります。
違約金とは,債務不履行があった場合に,債務者が債権者に支払うべきことを約束する金銭のことです。
上記事例でいえば,配偶者の方が取り決めに違反した場合に,配偶者の方があなたに支払うべきことを約束した200万円です。
ところで,「違約金」は,「違約罰」か「賠償額の予定」という概念に分かれます。
違約金が違約罰である場合,違約罰として定められた金額とは別途損害賠償請求ができます。
一方,違約金が賠償額の予定である場合,別途の損害賠償請求はできません。
そして,民法420条3項は,違約金は賠償額の予定であると推定する旨規定しています。
そのため,「違約金として200万円を支払う」という記載だけの場合は,この200万円は賠償額の予定であると判断されるのが原則となります。
この原則からいきますと,あなたは違約金200万円とは別途慰謝料を請求することはできません。
もっとも,例外的に,「違約金」が(賠償額の予定ではなく)違約罰であるということが立証できれば,200万円とは別途慰謝料を請求することができます。
違約金が違約罰であることを明確にしたい場合は,「違約金」という文言を使うのではなく「違約罰」という文言を使うようにすることをおすすめします。